【鳥さん】オウム病について【鳥から人にうつることがある感染症】

f:id:hatarakitakunai30:20210625141230p:plain

こんにちは、小鳥の獣医です。

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。


開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

 

本記事では、オウム病についてお伝えします。

 

オウム病は、オウムという名前がついていますが、オウムだけがかかる病気ではありません。

また、鳥だけでなく、様々な動物でも感染が確認されています。

 

鳥から人にうつることがある病気ですが、飼い鳥が感染しているかどうかは検査で確認することができます。

オウム病について正しい知識を持つことが重要です。

 

本記事では、鳥のオウム病について主にお話します。

 

 

オウム病とは

鳥のオウム病(鳥クラミジア症)は、細菌による感染症です。

 

オウム病という名前がついていますが、鳥類全般がかかる可能性があります。

 

飼い鳥では、特にオカメインコセキセイインコで感染率が高いとされています。

 

国内の飼い鳥での検出率は10%程度、健康な鳥の陽性率は6%前後との報告があります。

 

オウム病は、鳥から人にうつることもある人獣共通感染症です。

 

文に感染していても症状が出ないことの方が多いため、人へうつることを避けるためには、遺伝子検査(PCR検査)で感染の有無を確認することが重要です。

 

 

原因

オウム病(鳥クラミジア症)は、クラミジアChlamydophila psittaci クラミドフィラ シッタシ)という細菌が原因の感染症です。

 

細菌が口や鼻から入ることで感染します。

 

オウム病にかかっている鳥の糞や分泌物が乾燥し細かい粒になったものや、それらが付着した羽毛を吸引することで、細菌が体内に入り感染します。

 

また、糞や尿が入った飲み水や餌の摂取や、親からヒナへの給餌によっても感染します。

 

症状

様々な症状が出ますが、オウム病に特徴的な症状がないため、症状だけでは他の病気との区別が難しいです。

以下の症状が出た時は、オウム病である可能性を考えるべきです。

 

  • 元気食欲の低下
  • 羽を膨らませている(膨羽)
  • 体重減少
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 結膜炎
  • 涙が出ている
  • 呼吸困難
  • 尿酸(本来白い液状の尿)が黄色や緑色になる
  • 下痢
  • 多飲多尿
  • 突然死
  • けいれん

 

しかし、症状が出ないことの方が多く、症状が出ていなくても、他の鳥や人間にうつるため、注意が必要です。

 

また、症状が出ていなかったのに、免疫力の低下などがきっかけで数年後に突然発症するケースもあります。

 

検査

遺伝子検査(PCR検査)を行います。

 

遺伝子検査の検体は、便、後鼻口スワブ(口の奥の部分をぬぐったもの)、総排泄腔スワブ(おしりの穴をぬぐったもの)、血液などです。

 

しかし、遺伝子検査で陰性であっても必ずオウム病でないとは言い切れず、その検査のときに採取した検体の中にはオウム病の原因細菌が入っていなかったということしか証明できません。

 

症状が出ている場合は、血液検査やレントゲン検査を行い、呼吸器症状や消化器症状の確認を行います。

 

治療

抗生剤で治療を行います。

 

オウム病の原因細菌は細胞内でしか増殖できない特殊な細菌で、細胞内に潜伏している間は薬が届かないためのため、投薬は長期にわたります(45日間)。

 

症状が軽度であれば、早期治療で予後は良好です。

 

感染した鳥から他の鳥や人間にうつるのを防ぐため、感染鳥の隔離が必要です。

また、ケージなどの糞便に汚染されたものは毎日、清掃・消毒が必要です。

清掃は人にうつらないよう手袋やマスクを着用して行う必要があります。

 

 

予防

遺伝子検査で感染していないことを確認し、感染が確認された鳥は隔離して治療をすることです。

新しく鳥をお迎えしたら健康診断とあわせてオウム病の遺伝子検査を行うと安心です。

 

また、鳥との濃厚接触は避け、鳥と触れ合った後は手洗いをしっかりと行いましょう。

 

人間のオウム病について

 

オウム病は鳥から人間に移ることのある病気です。

 

国内では年間30人前後の感染が報告されています。

 

ヒトに感染すると、突然の発熱、頭痛、全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛、咳などのインフルエンザ様症状が出ます。

 

治りにくい咳や息苦しさなどの症状を感じたら、オウム病を可能性の1つして疑い、病院にかかり鳥を飼っていることを医師に伝えましょう。

 

特に免疫力の低下している人や妊婦さんは注意が必要です。

 

人間のオウム病について詳細はこちら:厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154524.html

 

終わりに

オウム病は人にもうつることがある感染症です。

新しく鳥さんをお迎えしたら健康診断とあわせてオウム病の遺伝子検査を行うと安心です。

他の鳥さんがいる場合や、免疫力の低下している人や妊婦さんがいるご家庭では特に注意しましょう。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。

記事一覧

 

Twitterでも情報発信しています。

@vet_bird_toriko

【鳥さん】グリッドインパクションについて【塩土やボレー粉に注意】

f:id:hatarakitakunai30:20210624132129p:plain

こんにちは、小鳥の獣医です。

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。


開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

 

本記事では、グリッドインパクション(胃閉塞)についてお伝えします。

 

グリッドインパクションは、胃の中に砂(グリッド)が貯まり、通過障害を起こし、吐き気や嘔吐等が生じる病気です。

予防方法等についてお伝えしますので、愛鳥が病気にならないよう注意してあげてください。

 

 

グリッドインパクションとは?

胃の中に砂(グリッド)が貯まり、吐き気嘔吐などの症状が起こる病気です。

 

グリッドとは、鳥の胃(筋胃、すなぎも)の中の物理的な消化をするため砂のことです。

餌を丸呑みする鳥類は、胃の中でグリットにより餌をすり潰しています。

 

このグリッドは、消化に必要なものですが、大量に食べすぎてしまうと胃の中にぱんぱんに貯まり、「グリッドインパクション」という病的な状態になります。

 

小型のオウム類での発生が多く、特にコザクラインコボタンインコオカメインコに多くみられます。

 

原因

グリッドとなるもの

  • 塩土
  • ボレー粉
  • カットルボーンの硬い部分
  • ペレットに含まれる炭酸カルシウムの粒
  • 砂浴び用の焼き砂
  • サンドパーチの砂
  • 植木鉢の土など

 

塩土やボレー粉などのグリッドになるものを、急激に大量に食べてしまうことでグリッドインパクションを起こします。

 

症状

  • 吐き気・嘔吐
  • 食欲がなくなる
  • 元気がなくなる
  • 羽を膨らませる(膨羽)
  • 絶食便(食べ物を食べていないときに出る濃い緑色のべちゃっとした便)

 

検査

レントゲン検査でグリッドが胃の中に大量に貯まっていることを確認し診断します。

 

単純なレントゲン検査で写らない鉱物飼料以外の異物の場合は造影剤を飲ませてレントゲン検査をするケースもあります(グリッドインパクションではなく異物による胃閉塞の場合)。

 

治療

グリッドになるものの給与をやめます。

 

食事として、種子(シード)をやめ、流動食を与えます。

 

自力で餌を食べられる状態であれば、エンバク(オーツ麦)ペレットを食べさせます。

 

体力を維持しながら、自然にグリッドがすりつぶされ流れていくのを待ちます。

貯まっているグリッドがボレー粉の場合は1日待てば自然に溶け、流れていきます。

 

貯まっているグリッドが細かい粒の場合は、胃粘膜保護剤、消化器機能調整剤、潤滑剤を使用し、腸へ流れ出ていくように治療を行います。

 

排泄や溶解が難しい大きなグリットの場合は、手術で胃を切開し、外科的にグリットを摘出するケースもあります。

 

予防

予防方法は、グリッドとなるもの※を、急に食べすぎないようにすることです。

 

グリッドインパクションを起こした鳥さんは、再度起こす可能性が高いため、グリットは与えないようします。

 

※グリッドとなるもの

  • 塩土
  • ボレー粉
  • カットルボーンの硬い部分
  • ペレットに含まれる炭酸カルシウムの粒
  • 砂浴び用の焼き砂
  • サンドパーチの砂
  • 植木鉢の土など

 

特に塩土は、食べ過ぎると塩分の取りすぎにもなりますので、与えないことを推奨します。

 

推奨できる鉱物飼料は、カットルボーンの柔らかい部分です。

 

終わりに

グリッドインパクションは、予防できる病気です。

愛鳥のために正しい知識を持ち、グリッドになるものを、食べすぎないように気を付けてあげましょう。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。

記事一覧

 

Twitterでも情報発信しています。

@vet_bird_toriko

【鳥さん】放鳥について【ながら放鳥や放し飼いは危険!】

こんにちは、小鳥の獣医です。

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。


開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

 

本記事では、鳥さんの放鳥について特に注意すべきことに重点をおいてお伝えします。

放鳥は、鳥さんにとって運動不足解消やストレス発散など良い効果があります。

 

しかし、お家の中には、注意すべきものがたくさんありますので、事前に危険な物を取り除くなど準備を整えてから行い、放鳥中はしっかりと鳥さんを見守ってあげましょう。

 

 

放鳥について

放鳥とは、鳥かごから出して、お部屋の中で遊んだり、飛ばせてあげることです。

 

放鳥は、鳥さんにとって運動不足解消ストレス発散など良い効果があり、鳥さんの心と体の健康につながります。

太り過ぎによる病気の予防にもなります。

また、飼い主さんと一緒に遊ぶことで、コミュニケーションを取る良い時間になります。

 

しかし、お家の中には危険がいっぱい!

思わぬ事故により、鳥さんがケガをしたり、命を落とす例を発生しています。

 

愛鳥と良い時間を過ごせるように、注意点をしっかりと知っておきましょう。

 

放鳥の方法 

放鳥は、鳥さんが安全に遊べるように、人間がしっかりと見守ることができる状態で行いましょう。

時間は30分~1時間くらいが目安です。

 

放鳥時間は、毎日規則正しく、十分な時間を確保することが理想的ではありますが、人間の生活の都合もあるため、難しいこともあると思います。

安全であることが最重要と考えてください。

 

ながら放鳥や放し飼いは危険!

ながら放鳥放し飼いは、様々な事故につながります!

人間が見守ることができないときは放鳥はしないでください!

悲しい事故が多数発生しています!

 

放鳥時に気を付けること・もの 

お家の中には鳥さんにとって危険なものがたくさんあります。

危険なものは片付けて、部屋を整理整頓してから、鳥さんを出してあげましょう。

事故の発生が多い代表的なこと・ものを紹介します。

 

  • 誤飲につながるもの

鳥さんは小石や砂などをついばむ習性があり、好奇心も旺盛ですので、鳥さんが飲み込めるくらいのサイズのものは誤飲につながります。

 

特に注意すべきは金属片を食べてしまう金属中毒です。

 

参考記事:金属中毒について

 

  • 鳥さんが食べると危険なもの

観葉植物や食べてはいけない野菜が出しっぱなしだと誤食により中毒症状を起こすおそれがあり危険です。

 

参考記事:副食について

 

  • 窓やドア

窓やドアが閉まってることを必ず確認しましょう。

外に逃げてしまい迷子(ロスト)につながります。

 

網戸にも注意が必要です。鳥さんの種類によっては、網戸を突き破って外に出てしまう可能性があります。

 

また、家族の協力も重要です。放鳥中は家族に知らせ、ドアや窓を開けてしまわないように気をつけましょう。帰宅してきた家族がドアを開けたときに逃げてしまう可能性もあります。

 

  • 家具の隙間や落下しそうな物

大きな家具の隙間に入ってしまい出られなくなると、救出時にはさんでしまうおそれがあり、大変危険です。

また、落下物が鳥さんの上に落ちてきてしまうと大怪我をするおそれがあります。

 

  • 扇風機

運転中の扇風機に足や羽をはさんでしまうと非常に危険です。

 

  • 鳥さんに危害を加えるおそれのある動物

仲良しだと思っていても、思わぬ事故につながる恐れがあります。特に犬や猫などの大きな動物は鳥さんと一緒に出さない方がよいでしょう。

また、鳥同士でのかみつきによる事故も発生しています。複数鳥さんを飼育している場合は、一緒に出しても大丈夫かよく考えて放鳥しましょう。

 

  • 人間による事故

ドアではさむ、人間が踏んでしまうといった事故が多発しています。

 

  • 掃除機

掃除機で吸ってしまうと大ケガにつながります。

放鳥中に掃除機を使わないでください!

 

  • 高温のお湯や油が入った鍋

大火傷につながりますので、高温のお湯や油が入った鍋は片付けてから放鳥を!

 

  • 鳥さんの体調

体調が悪いときは放鳥を避けましょう。

飛ぶことはとても体力を消耗します。

闘病中に無理に放鳥をすると、急に命を落とすおそれもあります。

放鳥しても良いかは鳥さんの具合によって変わりますので、通院中の場合は、放鳥してもよい状態か、かかりつけの獣医師に確認してください。

 

  • 肥満の鳥さん

太り過ぎの鳥さんが、無理して激しい運動をすると、隠れていた病気(肝臓病や動脈硬化)が出現し、危険な場合がありますので、注意が必要です。

太り過ぎと考えられる場合は、まず動物病院で本当に太り過ぎか?病気が隠れていないか?健康診断を受けた方が良いですね。

 

 

鳥さんの事故はとても多く発生しています。

必ず人間が見守った状態で!

放鳥中は鳥さんと一緒に遊ぶことで、こうした事故を避けることができます。

 

終わりに

お家の中には鳥さんにとって思わぬ危険がたくさん潜んでいます。

こうした危険は、放鳥中に鳥さんと人間が一緒に遊んであげることで全て解決します。

大切な鳥さんのために、しっかりと見守ってあげてください。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。

記事一覧

 

Twitterでも情報発信しています。

@vet_bird_toriko