【鳥さん】換羽の注意点、対応方法、病気との見分け方を解説

鳥さんのお医者さんをしていた獣医師とり子です。

動物病院での勤務経験と獣医師としての知識を生かし

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。

 

この記事では、鳥さんの換羽についてお話します。

換羽は羽の抜け変わりのこと。

鳥さんにとっては一大イベントです。

 

換羽は鳥さんにとって正常な生理現象ですが、

いつも以上に健康状態の観察や栄養の管理など

特別な対応が必要になります。

 

飼い主さんの務めをしっかり果たして、

鳥さんにとってナーバスになりがちな時期を

一緒に乗り越えてあげましょう!

 

 

換羽とは?

全身の羽が抜け代わる生理現象です。

古い羽が抜けて新しく羽が生えてきます。

 

鳥さんを飼っていれば、

遭遇したことがあるのではないでしょうか。

突然、羽がどっさり抜けて驚いた経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。

 

飼主さんの中には、

鳥さんの換羽期を察知し、鳥さんの様子を気遣うようにしている方もいれば、

そもそも指摘されて初めてそういえば羽がたくさん床に落ちていることに気付く、

という方もいらっしゃいました。

 

換羽は、

鳥さんにとって体調を崩しやすく、

しんどい時期ですので、

鳥さんにとって特別な時期だと認識して

いつも以上に鳥さんの様子を気に掛けるようにしてあげてください。

 

まずは換羽について、もっと知っていただきたいと思います。

 

換羽中の鳥さんの変化

換羽中は鳥さんにとって

新しい羽を作ることに栄養を取られ

体力を消耗するつらい時期です。

体がしんどくなるのでストレスも貯まります。

ストレスで免疫力も下がりやすくなりますので、

感染症を起こしやすくなるため注意が必要です。

 

換羽中は以下のような様子や症状が現れることがあります。

変化の程度には、個体差があります。

また、鳥さんの生活環境や健康状態によって違いがあります。

 

・いつもより元気がない

 

・ごはんを食べる量が少ない

 

・いらいらして攻撃的になる

 

・羽を膨らませて具合が悪そうに見える

 

・体重が減少する

羽を作るのに必要な栄養はタンパク質です。

換羽中にタンパク質が十分に取れていないと、

筋肉を壊して羽を作る材料にしてしまいます。

そのため体重が減りやすく、調子も崩しやすくなります。

 

・おえおえと気持ち悪そうな仕草をする(吐き気)

羽は空を飛ぶためだけのものではありません。

羽には体の熱を逃がさないようにするという重要な役割があります。

そのため羽が一気にたくさん抜けてしまうと体が冷えやすくなり、

体が冷えることで吐き気が出ることがあります。

 

・尿の量が多くなる

換羽期は甲状腺ホルモンがたくさん分泌されて代謝が増加し、

肝臓でタンパク質をたくさん作りだします。

こうした体の中の反応の結果として生理的に多尿となります。

 

 

病的な状態なのか正常な範囲内なのか判断することは難しいと思います。

また、上記症状にあてはまるからと言って、

原因が換羽によるものとは限りませんので、

少しでもおかしいなと感じたら病院を受診することをおすすめします。

 

換羽期の免疫力低下により、感染症にかかることもあります。

くしゃみや鼻水など風邪のような症状が見られたら、

迷わず診察を受けてくださいね。

 

換羽中のうちの子の様子

換羽真っ最中のうちの子の様子。
f:id:hatarakitakunai30:20200602145210p:plainなんとなく具合が悪そうな顔をしています。

なんだかぼろっとしているように見えませんか?

お顔に新しく生えてきた羽(筆毛)がつんつんしてきています。

 

ケージの周りはこんな感じ

f:id:hatarakitakunai30:20200602145543j:plain

 

なんで換羽が起こるの?

鳥さんにとって、羽はとても大事なものです。

自然界では、うまく飛べなくなってしまうと命にかかわるからです。

そのため、定期的に生え変わるようにできています。

 

正常な換羽の頻度はどれくらい?

発情の周期やホルモンの働きによって換羽が起こると言われています。

換羽の正常な頻度は鳥の種類にもよっても違いますが、

最低でも年1回起こります。

年に2回起こる種類が多いです。

インコ・オウムの換羽は発情が終わると換羽が始まり、数か月続きます。 

 

ただ、快適なおうちの中で飼われている鳥さんですと、

季節感が分かりにくく、

不規則に起こることもあります。

 

換羽期の注意点と対応は

・いつも以上に体調や様子の変化をよく観察する

体調を崩しやすい鳥が増えるので体重測

定や保温に注意し、不調にいつも以上に気を

配る必要があります。

いつも以上に注意深く鳥さんの様子を観察するようにしてください。

 

・ごはんを十分に食べていかチェック

 

・体重測定

換羽中はできるだけ毎日体重をはかりましょう。

換羽中は体重が減少しやすいです。

急激に減るようであれば病院へ。

 

・換羽期に必要な栄養(タンパク質)を与える

羽を作るために必要な栄養はタンパク質です。

換羽期は換羽期用の食事メニューに変更し、

十分量食べているかよく観察してください。

 

・必要に応じて保温

羽が抜けることで断熱機能も低下します。

換羽中は特に温度が低くなりすぎないように注意しましょう。

保温は鳥さんの様子に合わせて行ってあげてください。

膨らんで寒がっている様子が見られたり、

吐き気等の症状があるときは保温器具を使用してあげましょう。

 

・明らかに具合が悪そうであれば病院へ連れて行く

換羽は生理現象とは言え、

鳥さんにとっては一大イベントです。

換羽がきっかけで体調を崩し病気になることもありますので、

おかしいなと感じたら迷わず病院へ連れて行ってあげましょう。

換羽期だけ必要な栄養剤(ネクトンBIO)を必要な量だけ処方してもらうこともできます。

 

換羽期に必要な栄養は?

換羽中に必要な栄養はタンパク質です!!

羽を作り出すための材料として

通常の約2倍のタンパク質が必要になりますので、

必ず食事メニューを換羽期用に切り替える必要があります。

 

飼い鳥の餌に推奨される栄養含有量は、

普段はタンパク質が12%ですが、

換羽中に必要となる餌の栄養含有量はタンパク質20%です。

 

換羽期は換羽期用の食事メニューに変更しよう

シード食の場合

ビタミン剤を換羽期用のネクトンBIO(バイオ)に変更しましょう。

 

 

 

換羽期だけ与えるBIOは消費量もそこまで多くなく、

次の換羽期までは保存がきかないと思いますので、

小分けタイプの方が使い勝手が良いかもしれませんね。

 

ネクトンは飲み水に混ぜるかごはんに振りかけて与えます。

水に混ぜた方がきちんとした濃度で与えられるのでよいと考えています。

 

ただし、ネクトンを混ぜると水が傷みやすくなるので、

できれば1日に2回、お水を交換してあげましょう。

 

うちではこのように頑張ってネクトンを消費していますw

ネクトンは開封後2~3カ月で使い切りましょう。

 

かかりつけの病院で小分けにして販売していれば、

そちらを利用した方が無駄にしなくてよいですね。

 

ネクトンの与え方についてはこちらの記事で解説しています。

 

hatarakitakunai30.hatenablog.com

 

 

ペレット食の場合

普段のごはんがペレットであれば、

換羽期用ペレットを活用しましょう。

換羽期用ペレットに切り替えるor換羽期用ペレットを混ぜて与えるのがいいと思います。

 

換羽期用ペレットは

以下のような「高タンパク」のものを選びましょう。

 

必要な栄養はタンパク質です。

脂肪をたくさん摂る必要はありませんので

ペレットを選ぶ際にはご注意ください。

 

ハリソン:「ハイポテンシー」

 

 

ラウディブッシュ:「ブリーダー」

 

 

※ラウディブッシュの場合
「ハイエネルギーブリーダー」は「高タンパク・高脂肪」です。
「ブリーダー」とは別物ですのでご注意ください


急にごはんを変えて食べなくなってしまうと大変なので、

鳥さんがちゃんと食べているか観察し、

体重が減っていないかみながら

切り替えてください。

 

 

 

病気との見分け方は?

・換羽は全身の羽が抜けます

部分的に抜けていることが分かれば病気を疑います。

 

・換羽はすぐに新しい羽(筆毛)が生えてきます

新しい羽が生えてこないようなら病気の可能性が高いです。

 

・換羽により自然に抜け落ちた羽の根本は、色が半透明な白色、形はなめらかでキレイな状態です

抜けた羽根の根元の色が黒色だったり形がいびつであれば病気の可能性が高いです。

 

病気かもしれないと察知したらすぐに病院へ連れて行ってあげましょう。

羽が抜ける病気の一例

・毛引き

・内分泌疾患(甲状腺の病気)

・外傷、事故、パニック(特にオカメインコ

・皮膚病

感染症(PBFD)

 

 

しょっちゅう換羽が起きている場合の対応

年に何度も頻繁に換羽が起こる、

終わったと思ったらまた抜け始める、

だらだらと長く続く

という場合は要注意です。

 

換羽は、発情が終わったサインでもあります。

 

しょっちゅう換羽が起こるようでしたら

しょっちゅう発情しているというサインかもしれません。

その場合は、発情を抑制する必要があります。

 

hatarakitakunai30.hatenablog.com

 

 

また、換羽の頻度が異常になる原因は、発情だけではありません。

 

鳥さんが生活している環境の明るい時間と暗い時間の変化(光周期)が乱れている場合や

ホルモンを作る臓器の病気が隠れている場合にも、

換羽が正常に起こらないことがあります。

 

 

 

 

だらだらと換羽が続いている場合、その状態をふつうだと認識し、

羽が抜けていることを気にしない(異常だと気づいていない)

飼い主さんが多いように感じます。

 

 

日常的に鳥さんの羽が何枚も抜け落ちるということはありません。

長期的に換羽が続くのは異常な状態です。

 

 

 

換羽は健康管理のバロメーターになる

 

換羽は鳥さんの健康管理をするうえで重要な情報です。

換羽が起きたら時期を記録しておきましょう。

記録に残しておけば、確実に換羽の発生頻度を把握することができます。

 

換羽は通常発情のあとに起こるので、

発情の様子とあわせて記録を付ければ健康管理に役立ちます。

 

記録を付けてみて、

年に何度も発情と換羽を繰り返しているようであれば、

発情の抑制が必要です。

 

鳥さんが幸せに長生きできるように、

まずは現状をしっかりと把握するところから始めましょう。


新しく生えてきた羽(筆毛)について

新しい羽は、

サヤに包まれた筆のような状態で生えてきます。

 

新しく生えてきた羽は筆毛と言って

つんつんしたトゲの様な見た目をしています。

 

筆毛は優しく指でほぐしてあげることに問題はありません。

鳥さんが自ら求めてきた場合はほぐしてあげましょう。

顔回りは自分のくちばしでほぐせないので鳥さんも喜びます。

 

ただし、

成長途中の筆毛の中には血管が伸びています。

この状態で筆毛の根元付近で折れてしまうと

大量に出血することがありますので注意が必要です。

オカメインコさんがパニックになって暴れてしまった際に

ぶつけて折れてしまうことがしばしばあります。

 

筆毛からの出血は、羽を根元から抜かないと止まりません。

 

もし、

おうちで筆毛からの出血が起きてしまったら、

折れてしまった羽を特定し、

それをピンポイントで抜く。

難しければ、

出血している部分を手で抑えて、

急いで病院へ連れて行ってください。

 

筆毛からの出血時に爪用の止血剤(クイックストップなど)は決して使わないでください!!

このような止血剤は化学的にやけどを起こします。

爪以外の部位に使用してはいけません。

鳥さんが激痛で苦しむことになります。

 

まとめ

 

換羽のポイント! 

・全身の羽が生え変わる鳥さんにとって大変な時期

・体調管理、温度管理、食事メニューの変更が必要

・羽を作るのに必要な栄養はタンパク質

・ペレット食なら換羽期用ペレットに切り替え

・シード食ならネクトンBIOを使用

 

 

以上に気を付けながら

鳥さんと一緒に換羽期を乗り越えてあげましょう。

 

鳥さんがイライラして怒りっぽくなることもありますが、

鳥さんができるだけ気持ちよく過ごせるように

飼主さんも換羽とうまく付き合っていけるといいですね。

 

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