こんにちは、小鳥の獣医です。
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- お家でペットの鳥の爪切りをしたら血が出た!どうすればいいの!?
- 正しい止血方法を知りたい
- 止血剤は必要?
こんな疑問に答えます。
この記事では、お家でインコや文鳥などの鳥の爪切りで血が出たときの止血方法をお伝えします。
お家で上手に爪切りができる飼い主さんも多いと思いますが、鳥さんの爪切りは、気を付けていても出血してしまうことがあります。
鳥の爪切りは出血することを想定して止血剤を準備してから始めるべきです。
小鳥の出血は緊急事態です。たかが爪切りとあなどってはいけません。
この記事を読めば、爪切りで血が出ても落ち着いて対応できるようになります。
大事な鳥さんのために、爪切りは止血剤を準備してから始めましょう。
- 鳥の爪切りは深爪すると出血する
- 止血に必要な物
- お家にあるもので止血に使える物(応急処置)
- 止血方法
- 止血後はしばらく様子を見る(再出血に注意)
- 応急処置のあとは動物病院へ
- 血が止まらない場合は出血部位を押さえたまま動物病院へ
- ぽたぽたと滴るくらいの出血量は命の危険あり
- まとめ:お家で爪切りをするなら止血剤が必須
鳥の爪切りは深爪すると出血する
鳥の爪の中には血管があります。
爪の先端の方には血は通っていないので、切っても問題ありません。
しかし、血管が通っている部分まで深く切ると出血します。
爪切りの方法については、こちらの記事をご覧ください。
止血に必要な物
止血剤
クイックストップという止血剤がおすすめです。
犬猫用の黄色い粉状の外用薬です。
薬なので確実に止血効果があります。
この止血剤は爪専用です。
化学的にやけどを起こすようなはたらきで止血する薬です。
絶対に爪以外の部位には使用しないでください。
鳥さんが激痛で苦しむことになります。
ガーゼ(ハンカチ、布、ティッシュでも可)
出血部を押さえたり、血を拭き取るのに使います。
清潔な物を用意しましょう。
お家にあるもので止血に使える物(応急処置)
これらはあくまで応急処置として使える方法です。
小麦粉や片栗粉
小麦粉や片栗粉は鳥さんの口に入っても安全なので代用品として使われることが多いですが、止血効果は弱いです。
線香
線香は止血効果がありますが、鳥さんにやけどをさせてしまう可能性があり危険です。
線香の煙による害も否定できませんので、日常的にこの方法を使うのはおすすめできません。
止血剤がなく、どうしようもないときの応急処置と考えてください。
止血方法
【止血時の注意点】
鳥を捕まえている手に力を入れすぎないように注意しましょう。
鳥の胸を圧迫すると息ができなくなります。
鳥の胸を押さえる=人間の首を絞めるのと同じです。
圧迫止血(出血部位を押さえる)
圧迫止血とは、出血部位を圧迫する(押さえる)方法です。
- 人間の指で出血している鳥さんの爪の断面を押さえる
- 10秒くらい押さえ続ける
- 指を離して血が出ないことを確認する
このとき、押さえる指に力を入れる必要はありません。
爪の断面をぴったりとフタをするイメージです。
指を離したら血がにじみ出てくるようであれば、すぐに再度押さえてください。
数回試して血が止まらない場合は、次に紹介する止血剤による止血方法に進んでください。
無事止血できても、直後に鳥さんが暴れたり、鳥さん自身が爪を気にしていじってしまうと再度出血することがあります。
止血後は再度出血していないか注意深く観察してあげてください。
止血剤による止血
- 出血した爪の断面をガーゼ(ハンカチ、布、ティッシュでも可)で押さえるようにして血をふき取る
- ガーゼを離したら、すかさず止血剤の粉を出血部位に押しこむ
小麦粉や片栗粉による止血
やり方は止血剤による止血と同じです。
1つ前の「止血剤による止血」を見てください。
小麦粉や片栗粉に止血作用はありません。
粉が血で固まってかさぶたのような役割をすることで血を止めます。
小麦粉や片栗粉による止血は、止血部位で菌が増え感染症などのトラブルを起こす可能性があります。
止血後は、動物病院で適切な処置を受けましよう。
焼灼止血(線香などで出血部位を焼く)
- 線香に火をつけて炎を消す
- 線香を出血している爪の断面にじゅっと当てて焼く
鳥さんと飼い主さんの火傷(やけど)に注意してください。
焼灼止血は止血効果が高く、消毒効果もあります。
しかし、線香の煙は鳥さんの体に害が出るおそれがあります。
止血後はしばらく様子を見る(再出血に注意)
止血後はしばらく鳥さんの様子を見守りましょう。
飼い主さんがやたら気にして鳥さんがいつも以上に動き回ると再度出血するかもしれません。
ただし、鳥さんが止血部位を気にしていじる様子があれば、別のことで気をそらしてあげてください。
再度出血すると、出血量が増えて命の危険が迫る可能性があります。
何度も出血する場合は、動物病院へ連れて行って確実に止血してもらった方が安心です。
応急処置のあとは動物病院へ
小麦粉や片栗粉による止血は、あくまで応急処置です。
すぐに動物病院で適切な処置を受けましよう。
血が止まらない場合は出血部位を押さえたまま動物病院へ
血が止まらない場合は、出血部を押さえたまま動物病院へ連れていきましょう。
出血部位を押さえ続けてください。
血が流れ出てしまった分だけ命を失う可能性が高くなります。
前もって動物病院に連絡を入れておけば、動物病院側も準備をしておいてくれます。
到着したら速やかに処置が受けられると思います。
早く動物病院に連れていくことが重要ですが、血がついた物や止血で使用したガーゼ等を一緒に持っていくことができれば持っていきましょう。
出血量を獣医さんに伝えることができます。
ぽたぽたと滴るくらいの出血量は命の危険あり
鳥さんの血液量はおよそ体重の10%です。
健康な鳥さんでは血液量の10%(体重の1%)を失うと命の危険があります。
体重30グラム(血液量3ml)なら出血すると危ない量は0.3ml、1滴0.05mlとすると6滴です。
セキセイインコなら6滴出血した時点で危機的状態ということです。
ぽたぽたとしたたるような出血の場合、あっというまに命を落とす危険があります。
まとめ:お家で爪切りをするなら止血剤が必須
- 鳥の爪切りで血が出たら止血剤で止血する
- 小麦粉や片栗粉は緊急時の代用として使用することがあるが止血効果は弱い
- 線香は止血効果はあるが鳥さんによってい火傷や煙の害の危険がある
- 安全で止血効果があるのは止血剤だけ
止血は時間との戦いです。
お家で爪切りをするなら、止血に必要な物をお家に常備し、止血方法をあらかじめ知っておくと安心ですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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