こんにちは、小鳥の獣医です。
鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。
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本記事では、「骨折時の症状と対応」についてお伝えします。
鳥さんは空を飛べるよう体を軽くするために骨の中が空洞になっており、衝撃が加わると簡単に骨折してしまいます。
骨折するとどのような症状を示すのか、骨折したときはどのような対応が必要なのかお伝えしますので、鳥飼いさんの参考にしていただけると幸いです。
骨折時の症状と対応
鳥さんの骨折が疑われるときは、急いで治療をする必要があります。決して様子を見てはいけません。
本記事で骨折時の症状をお伝えしますので、骨折が疑われるときは急いで(数日以内に)動物病院へ連れて適切な治療を受けさせてあげましょう。
骨折の原因
私が遭遇したことがある事例をお伝えします。
骨折の原因
- ケージの中で暴れた
- 窓に激突した
- ドアではさんだ
- 人間に踏まれた
- 掃除機で吸ってしまった
特にドア等ではさんでしまったり、人間が踏んでしまうなど、人間の不注意による事故が多いです。
大好きな飼い主さんを追いかけて
・歩いてついてきた鳥さんを気づかず踏んでしまった
・飛んできた鳥さんをドアではさんでしまった
なんとも悲しい事故ですが、
『鳥さんにとって人間は凶器になり得ます』
放鳥時は常に気を抜かないことが大切ですね。
骨折時の症状
鳥さんが骨折しやすい部位は、翼と足です。
翼の場合
- 飛べなくなる
- 翼の高さが左右で違う
足の場合
- 足を浮かせている
- 歩き方がおかしい
骨折が重度の場合
- 出血(折れた骨が飛び出している)
- おかしな方向に曲がっている
- 腫れる
- 内出血(皮膚が赤黒い)
骨折が疑われるときの対応
人間に踏まれるのは、小さい鳥さんにとってはとんでもない大事故です。
交通事故にあったのと同じと考えてください。
骨折だけでは済まないこともあります。
万が一、お家で事故が起き骨折を疑う症状がれば、お家でできることはありません。
安静にして、早く動物病院へ連れて行ってあげてくださいね。
骨折が疑われる場合は、当日、遅くても翌日に病院へ連れて行ってあげてください。
時間が経ってしまうと骨折の手術ができなくなります。
また、骨折するような事故の場合、体の中に骨折以上の深刻なダメージを受けている可能性もあるので、必ず動物病院へ!!
骨折の治療
骨折の治療には2種類あります。
①手術(骨の中にピンを入れて折れた骨をつないで固定)
②外部固定(ギプスのように外から固定する)
どちらの治療方法にするかは、
- 骨の折れ方
- 鳥さんの状態
- 飼い主さんの意向
- 骨折してからの経過時間
から総合的に判断します。
手術ができる目安は、骨折してから2~3日以内です。
手術は、折れた骨と骨を元の状態に戻して、ピン(金属の細長い棒)で骨をつなぎあわせるように刺し固定します。
時間が経つと、骨の周りの筋肉が縮んで硬くなり、骨が元の位置に戻せなくなってしまいます。
骨折の治療は、手術ができる状態であれば手術をおすすめします。
外部固定で元通りにくっつかなかった場合や骨折を放置した場合、
・歩き方がおかしい
・飛べなくなる
といった後遺症が残ることがあります。
鳥さんが飛べなくなってしまうのはとても悲しいことですよね。
<手術をする場合の治療の流れ>
・入院
・手術(全身麻酔でピンを入れる)
・骨の癒合を確認(レントゲン検査)…骨が癒合するまでに手術後2~3週間
・ピンを抜く
・退院
・リハビリの通院
病院によって違うかもしれませんが
私が勤めていた動物病院では以上のような流れでした。
骨折の手術ができない事例
発情中の女の子の場合
- 発情により骨の中にカルシウムが過剰に沈着(骨が硬すぎてピンが入らない)
- 卵を産み過ぎて骨がすかすかになっている(ピンを刺すことで骨が砕けてしまう可能性がある)
発情は骨折の治療にも影響します。
骨折の予防
骨折は予防できます。
普段から注意してあげましょう。
- 事故を起こさない!
人間の不注意が多いです!
- 爪切り
長い爪は足がひっかかります!
- 丈夫な骨を作る
ペレットかビタミン剤でカルシウムとビタミンDを!
日光浴も!
- 発情抑制
女の子の発情は骨の状態に影響大!
産卵が続くと骨がすかすかに!
人間でいう骨粗しょう症のような状態ですね。
日頃からの発情抑制が大切です。
発情抑制の方法についてはこちら:発情抑制方法
まとめ
鳥さんの骨折は、鳥さん自身がケージ内で暴れて起こることもありますが、ほとんどが放鳥時の人間による事故です。
放鳥は長時間出しっぱなしにせず、大切な愛鳥にケガをさせないように日頃から注意してあげてください。
そして、事故が起きた時は、様子を見ず、すみやかに動物病院へ連れていき、適切な治療を受けさせてあげましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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