こんにちは、小鳥の獣医です。
鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。
開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談
本記事では、インコ・オウム類の病気であるPBFDについてお伝えします。
PBFDは、鳥さんの感染症の中でも特に怖い病気です。
確実な予防方法や治療方法が確立されていません。
鳥飼いさんにぜひ知っていただきたい内容ですので、参考にしていただける幸いです。
PBFDとは?
PBFDは、「Psittacine Beak and Feather Disease」の略で、日本語では「オウム類嘴-羽病」と言います。
オウム目の鳥だけに発症する病気です。
PBFDの原因は、ウイルス性の感染症(サーコウイルス属)です。
主に、3歳以下のさまざまなインコ・オウム類に発生します。
年齢を重ねると、免疫力が強くなり、ウイルスに感染しにくくなると言われています。
感染症のため、1羽がかかっていると他のインコに移る可能性があります。
なぜPBFDが怖いのか?
PBFDは予防できるワクチンがなく、発症してしまった個体への根本的治療法も確立されていないため、怖い病気です。
PBFDにかかりやすい鳥種
インコ・オウム類のみにかかる病気ですが、鳥の種類によってかかりやすさが異なります。
よくかかる鳥種はセキセイインコ、白色オウム、ヨウムですが、その他の鳥種でもかからない訳ではありませんので、注意が必要です。
症状
目に見てて分かる症状は以下の通りです。
- 脱羽、羽毛異常(羽が抜ける、羽の形がおかしい)
- クチバシの異常(特に白色オウム)
- 脂粉の減少(脂粉の減少によりくちばしが黒光りするのが特徴)
- 食欲不振、嘔吐、下痢
- 突然死(特に白色オウムやヨウムのヒナ)
特に脱羽と羽毛異常が特徴的です。
セキセイインコで長い羽が抜け、抜けた羽の根本の形や色がおかしければ、PBFDの疑いが強いです。
人間のAIDS(後天性免疫不全症候群)のように、免疫力が低下する病気です。
免疫力の低下により他の病気にかかることもあります。
発症後の症状の重さは、鳥の種類や年齢により異なります。
1年以内に死亡するケースが多いですが、すぐに陰性になるケースもあります。
感染経路
PBFDは鳥から鳥へ感染します。
PBFDに感染した鳥の糞便や脂粉などを介してウイルスが移ります。
- 感染している鳥と同居している鳥がウイルスの含まれた羽や糞便を食べてたり吸ったりすることにより感染
- 親鳥からヒナへの給餌による感染
免疫力の高い成鳥は感染するリスクが低いと言われています。
検査方法
羽や糞便、血液を採取してPCR検査(遺伝子検査)を行います。
治療方法
根本的治療法は確立されていません。
免疫力を上げる薬による治療を行います。
セキセイインコでは治療により陰性になるケースも多くあります。
予防方法
予防できるワクチンなどは今のところありません。
感染している鳥さんから、他の鳥に移らないようにするしかありません。
お迎え後には必ず、動物病院の健康診断を受け、感染の有無を確認しましょう。
インコ・オウム類を複数飼う場合は、PBFDに感染していないことを確認するまでは、同居させないようにしましょう。
終わりに
PBFDは根本的な予防方法と治療方法がない怖い病気です。
鳥さんをお迎えしたら、必ず健康診断を受けましょう。
感染症ですので、PBFDの疑いがある鳥さんを動物病院に連れていく場合は、事前に病院に連絡をするようにしてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。
Twitterでも情報発信しています。