こんにちは、小鳥の獣医です。
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本記事では、「すぐに動物病院へ連れていくべき症状」についてお伝えします。
鳥は体調不良を隠す生き物です。
それでも目に見えて症状がある場合、人間が思っている以上に具合が悪いことが多いです。
特に小鳥は調子を崩してから助からなくほど悪化するまでのスピードが早いため、「様子を見る」という選択をするのはとても危険です。
基本的には「元気・食欲がない」「いつもと違う症状がある」ことに気付いたら、1度すぐに病院へ連れていくのが安心です。
特にどのような症状が危険なのかお話しますので、鳥飼いさんの参考にしていただけると幸いです。
病院へ連れていくべき症状
注意すべき症状を紹介します。
※特に緊急で病院へ連れていくべき症状を赤字表記します。
赤字は救急車レベルだと考えてください。
赤字でなくてもいつもと違う様子が見られたら、できるだけ早く病院へ!
※写真は健康なセキセイインコで異常がない状態ですのでご了承ください。
具合が悪いときに共通して見られる症状
- 元気がない
- 羽を膨らませてじっとしている
- 寝てばかりいる
- 餌を食べない 食べないと数日で命にかかわります。
目や鼻の症状
- 涙が出ている
- 鼻水が出ている
- 目や鼻周りの羽が汚れている(=涙や鼻水が出ている)
- 目や鼻が赤くなったり腫れている
- ろう膜(くちばしの根元の膨らんで盛り上がった部分)の色が変わった
セキセイインコのオスのろう膜が茶色になった場合、精巣腫瘍の可能性があります。
呼吸の症状
- くしゃみや咳をする
- 呼吸が早い
- 呼吸音がする
- 口を開けて呼吸している
- 呼吸に合わせて胸が上下している
- テールボビング(テイルボビング)が見られる
(呼吸のたびに尾羽を上下させる様子=呼吸が苦しいときの様子) - スターゲイジングが見られる
(呼吸が苦しいために首を伸ばして上を向く姿勢)
安静時に呼吸器症状が見られた場合、肺炎、気嚢炎、甲状腺腫などの病気の可能性があります。
明らかに呼吸が苦しそうな場合、急死する可能性もあります。
消化器症状
- 吐き気がある
- 嘔吐する
- 顔が汚れている(=嘔吐の可能性が高い)
便や尿の症状
- おしりが汚れている(=下痢をしている)
- 尿(透明な液体部分)が多い
- 便や尿酸(尿酸=本来、真っ白な液状の尿)の形や色がいつもと違う
【便の色】
鮮やかな緑色の便の場合、中毒が疑われます。中毒の場合、急死する可能性があります。
便が真っ黒な場合、胃での出血が疑われます。
便が赤い血の色の場合、生殖器、おしり、腎臓からの出血が疑われます。
正常なセキセイインコの便
ころっとした形があり、尿酸が白く、透明な尿(水分尿)が少量です。
お腹の症状
- お腹が膨らんでいる
生殖器のトラブルや腹水など危険な状態である可能性が高い
羽毛の症状
- 羽の形がおかしい
- 羽が激しく抜けている
- 部分的にはげている
- 羽の色が以前と違う(肝臓が悪い可能性)
※抜けた羽の形がおかしい、根本が赤黒い場合、感染症(PBFD)の疑いもあるため、事前に病院へ症状を伝えてから受診してください。
正常な羽
根本は、色が半透明な白色、形はなめらかでキレイな状態です。
爪やくちばしの症状
- 内出血(黒い変色)がある
- 異常に伸びている
爪やくちばしに内出血や伸びすぎが見られた場合、肝臓が悪い可能性があります。
足の症状
- 足を上げている
骨折、ねんざ、足の神経のトラブルなどの可能性があります。
骨折の疑いがある場合、できるだけ早く受診してください。 - 足の裏にタコ
- 足のゆびにできもの(腎臓が悪いために起こる痛風の疑い)
※骨折については「骨折時の症状と対応」をご覧ください
体重の変化
- 食べているのに体重が減る
- 食べる量は変わらないのに体重が増える
食べる量に対して体重の変化が大きい場合、病気が隠れているおそれがあります。
おしりの症状
・おしりから赤いものが飛び出している(メス)
産卵に伴い、おしりから内臓が飛び出している状態です。
緊急で処置する必要があります。
卵の異常
・異常な卵を産んだ(形がいびつな卵や殻が無い卵)
産卵過剰あるいは栄養不足の可能性があります。次の産卵がスムーズにいかずトラブルが発生するおそれがあります。病院で診察を受けましょう。
体全体の症状
- できものがある
- 体の一部分をかゆがっている、気にしている
- 出血が止まらない
- ふるえ、けいれん、発作、斜頸(ずっと首をかしげている状態)が見られる(神経症状)
事故
- 事故でケガをした
- 火傷した
- 中毒を起こす危険な物(※)を食べた、吸った
(※観葉植物、金属、洗剤、薬品、チョコレート、アルコール、タバコ、テフロン加工調理器具からの有毒ガスなど)
心の健康
- 毛引きをしている
- 体をかじっている
応急手当の方法
緊急事態の場合は、無理に自宅で処置をせず、まず動物病院に電話をして、指示をあおぎましょう。
止血だけはすぐに飼い主さんが行う必要がありますので、方法を知っておきましょう。
出血
【羽が折れて出血した場合】
折れた羽を根本から抜くと血が止まることが多いです。
羽を抜いても出血が続くときは、出血部位を押さえて止血します。
羽からの出血の場合は、止血剤は使用してはいけません。
【爪から出血した場合】
止血剤を塗りこむことで血を止めます。
止血剤が無い場合は、小麦粉や片栗粉を代用するか、線香で焼くことで止血することもできますが、おすすめできる方法ではありません。
関連記事:爪からの出血の止血方法
ケガ
事故などによりケガをした場合、皮膚から出血しているときは、患部を押さえて止血します。
止血剤は使ってはいけません。
消毒もしない。
そのまま病院へ連れて行ってください。
火傷
火傷した部分だけを流水などで5分間程度冷やします。
水が鳥さんの顔にかからないように注意してください。
その後、動物病院へ連れていきましょう。
おしりから赤いものが飛び出している(♀)
すぐに病院へ連れて行ってください。
可能であれば飛び出した部分が乾かないように水(あれば生理食塩水)で湿らせてください。
けいれん
触るとその刺激で状態が悪化するおそれがあります。
刺激を与えず、落ち着くのを待ちましょう。
すぐに病院へ連れて行ってください。
呼吸が苦しそう
安静にして、あれば酸素缶(薬局等で販売されています)でキャリー内に酸素を供給し、ラップでキャリーをふんわり包んだ状態で病院へ連れて行ってあげてください。
まとめ
紹介したのは代表的なよくある症状です。
これらの症状以外でも「いつもと違う」と感じたら1度病院へかかりましょう。
病院へ連れていくべきか迷ったら、連れて行ってあげた方が安心です。
「様子を見る」という選択をして後悔しないようにしてあげてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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