【獣医が答えます】鳥の保温に関するQ&A

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この記事では、鳥さんの保温に関する疑問についてお答えします。

 

実際に鳥さんの飼い主さんから聞かれたことがある内容を思い出して記事にしました。

愛鳥のために役立つ情報があれば幸いです。

 

 

鳥の保温に関するQ&A

 

冬は必ず保温が必要ですか?

健康な成鳥であれば常時保温をする必要がありません。

 

鳥さんの様子を見て寒がっていれば(膨らんでいれば)保温してあげれば良いです。

過保護にする必要はありません。

 

ただし、寒暖差には注意が必要です。

急に冷えると体調を崩す鳥さんが非常に多いです。

気温の急激な変化には気を付けましょう。

 

年中冷暖房の効いた環境で生活していては発情につながります。

慢性的な発情を抑制するためには季節の変化を感じさせることも大切です。

詳しくは「発情を抑制する方法」をご覧ください。 

 

タオルや毛布などのカバーをかければ保温になりますか?

カバーだけでは保温になりません。保温電球などの保温器具を使いましょう。

 

鳥かごにカバーをかけても、空気の温度は変わりませんよね?

それでは鳥さんの保温にはなりません。

 

保温が必要なときは、必ず保温器具を使う必要があります。

保温器具で熱を発生させてから、鳥かご全体をカバーで覆って熱が逃げないようにしてください。

 

鳥の保温に最適なのは保温電球です。

 

保温電球のワット数の選び方を教えてください。

メーカーが示す温度の目安を参考に選びましょう。

 

 

保温電球のワット数と温度の目安

保温電球のワット数と温度の目安

※密閉した容器(W60×D45×H45cm)で使用した場合。

 

普段のお部屋の温度を確認し、そこから30℃まで上げられる能力のある保温電球を選べば、しっかりと保温ができます。

 

(例)お部屋の温度が20℃なら、30℃にするために10℃上げる必要があるので60Wを選ぶ

 

保温電球については「おすすめの保温器具」を参考にしてください。

 

保温電球を鳥かごの中に設置してもいいですか?

40W以上の保温電球は鳥かごの外に設置してください。

 

保温電球はとても熱くなります。

鳥さんが上に乗ったり、顔を密着させてしてしまうとやけどします。

基本的に鳥かごの外に設置してください。

 

鳥かごの中に設置したいときは20Wの保温電球を選びましょう。

設置時は鳥さんが保温電球の上に乗ることができないように、隙間を空けずに設置してください。

 

 

 

 

保温電球と一緒にビニールカバーを使っても大丈夫ですか?

熱で有害物質が発生するビニールカバーがあります。

確実に大丈夫だと言い切れる商品以外は保温電球との併用は止めましょう。

 

ビニールカバーは保温電球の熱によって有害物質が発生することがあります。

有害物質が発生した場合、鳥さんは高確率で命を落とすことになります。 

 

ビニールカバーを使用するときは、鳥さんに使う前に、保温電球で温まっても変な臭いがしないか確認してからにしてください。

 

鳥かご用のビニールカバーとして販売されているものであれば、説明書をよく見てみてください。

  • 「保温器具と併用しないでください」と書いてあれば止めましょう。
  • 説明書に記載がない=大丈夫か分からない」ので使用は止めましょう。

 

保温のためにケージカバーとして透明なものを使いたいときは、アクリルケースを推奨します。

 

保温電球を付けたままお休みカバーをかけても大丈夫ですか?

 
気を付ければ大丈夫です。
  • 火事が起きないように配置
  • 酸欠にならないように喚起用の隙間を空ける
  • 熱中症にならないようにサーモスタットで適温に保つ
 

保温電球は非常に高温になります。

カバーが直接保温器具に接触しないようにしてください。

 

また、換気のため隙間を開けておく必要があります。

 

カバーをかけると熱が逃げにくくなるため、温度が高くなりすぎるおそれがあります。

夜間は異常を察知することもできないので、必ずサーモスタットを併用しましょう。

 

サーモスタットとは、温度の自動調節装置のこと。

保温器具とつないで、保温器具の電源を入れたり切ったりする機械です。

設定した温度より上がると熱源のスイッチが切れ、設定した温度より下がるとスイッチが入るようになっています。

 

夜間に関わらず、保温器具を使用するときは基本的にサーモスタットの併用を強くおすすめします。

 

アサヒ

 

マルカン

 

 

保温しても膨らんでいます。もっと温度を上げた方がいいですか?

鳥の保温は30℃が目安です。32℃以上は危険です。

 

保温できているか確認するには「鳥の足」を触ってみてください。足が冷たければもう少し保温しましょう。

 

32℃以上は危険です!

脱水・熱中症になるおそれがありますので温度の上げすぎに注意しましょう。

 

30℃に保温しても膨らんでいる場合は、「寒い」のではなく「具合が悪い」と考えられます。早めに動物病院へ連れて行ってあげてください。

 

 

病院へ移動中の保温はどうすればいいですか?

ゆたんぽなら酸欠のおそれがなく、移動中でも保温できます。

 

レンジでゆたぽんゆたんぽお湯を入れたペットボトルなどで保温し、タオルで覆って、温度計で温度が確認できる状態にして移動すると安心です。

 

カイロは酸素を使って熱を産生するため、密閉すると酸欠になってしまいます。

カイロを使う場合は、キャリーの外側の側面に貼って、タオルをかけるようにしてください。

完全に密閉する入れ物には入れないでくださいね。

 

 


 

 

野鳥は真冬も外で生きているから鳥は寒さに強いんですよね?

飼い鳥と野鳥は違います。

 

野鳥は生まれた時から外の厳しい環境で育ち、冬の寒さにも順応しているため、生きていくことができます。

飼い鳥と野鳥では育った環境が全く違うのです。

飼い鳥は温室育ちです。一般的には寒さに弱いと考えてください。

 

寒いから鳥をお風呂に入れて良いですか?

絶対にやめてください。

 

セキセイインコなど尾脂腺の発達した鳥種では、尾脂腺から分泌された脂を羽づくろいにより全身の羽にコーティングし、羽の防水性や保温性を高めています。

お湯につかると脂が落ちてしまうので、お風呂には絶対入れないでください。

 

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まとめ

  • 健康な成鳥は常時保温の必要はないが、寒暖差には注意が必要
  • 毛布やタオルをかけても保温効果はない
  • 鳥の保温には保温電球などの保温器具を使う
  • ビニールカバーと保温電球の併用は避ける
  • 保温電球はワット数を確認して適切なものを使う
  • 鳥の保温は30℃が目安

 

愛鳥のために、必要に応じて適切な保温をしてあげましょう。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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