【鳥さん】グリッドインパクションについて【塩土やボレー粉に注意】

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本記事では、グリッドインパクション(胃閉塞)についてお伝えします。

 

グリッドインパクションは、胃の中に砂(グリッド)が貯まり、通過障害を起こし、吐き気や嘔吐等が生じる病気です。

予防方法等についてお伝えしますので、愛鳥が病気にならないよう注意してあげてください。

 

 

グリッドインパクションとは?

胃の中に砂(グリッド)が貯まり、吐き気嘔吐などの症状が起こる病気です。

 

グリッドとは、鳥の胃(筋胃、すなぎも)の中の物理的な消化をするため砂のことです。

餌を丸呑みする鳥類は、胃の中でグリットにより餌をすり潰しています。

 

このグリッドは、消化に必要なものですが、大量に食べすぎてしまうと胃の中にぱんぱんに貯まり、「グリッドインパクション」という病的な状態になります。

 

小型のオウム類での発生が多く、特にコザクラインコボタンインコオカメインコに多くみられます。

 

原因

グリッドとなるもの

  • 塩土
  • ボレー粉
  • カットルボーンの硬い部分
  • ペレットに含まれる炭酸カルシウムの粒
  • 砂浴び用の焼き砂
  • サンドパーチの砂
  • 植木鉢の土など

 

塩土やボレー粉などのグリッドになるものを、急激に大量に食べてしまうことでグリッドインパクションを起こします。

 

症状

  • 吐き気・嘔吐
  • 食欲がなくなる
  • 元気がなくなる
  • 羽を膨らませる(膨羽)
  • 絶食便(食べ物を食べていないときに出る濃い緑色のべちゃっとした便)

 

検査

レントゲン検査でグリッドが胃の中に大量に貯まっていることを確認し診断します。

 

単純なレントゲン検査で写らない鉱物飼料以外の異物の場合は造影剤を飲ませてレントゲン検査をするケースもあります(グリッドインパクションではなく異物による胃閉塞の場合)。

 

治療

グリッドになるものの給与をやめます。

 

食事として、種子(シード)をやめ、流動食を与えます。

 

自力で餌を食べられる状態であれば、エンバク(オーツ麦)ペレットを食べさせます。

 

体力を維持しながら、自然にグリッドがすりつぶされ流れていくのを待ちます。

貯まっているグリッドがボレー粉の場合は1日待てば自然に溶け、流れていきます。

 

貯まっているグリッドが細かい粒の場合は、胃粘膜保護剤、消化器機能調整剤、潤滑剤を使用し、腸へ流れ出ていくように治療を行います。

 

排泄や溶解が難しい大きなグリットの場合は、手術で胃を切開し、外科的にグリットを摘出するケースもあります。

 

予防

予防方法は、グリッドとなるもの※を、急に食べすぎないようにすることです。

 

グリッドインパクションを起こした鳥さんは、再度起こす可能性が高いため、グリットは与えないようします。

 

※グリッドとなるもの

  • 塩土
  • ボレー粉
  • カットルボーンの硬い部分
  • ペレットに含まれる炭酸カルシウムの粒
  • 砂浴び用の焼き砂
  • サンドパーチの砂
  • 植木鉢の土など

 

特に塩土は、食べ過ぎると塩分の取りすぎにもなりますので、与えないことを推奨します。

 

推奨できる鉱物飼料は、カットルボーンの柔らかい部分です。

 

終わりに

グリッドインパクションは、予防できる病気です。

愛鳥のために正しい知識を持ち、グリッドになるものを、食べすぎないように気を付けてあげましょう。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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【鳥さん】放鳥について【ながら放鳥や放し飼いは危険!】

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本記事では、鳥さんの放鳥について特に注意すべきことに重点をおいてお伝えします。

放鳥は、鳥さんにとって運動不足解消やストレス発散など良い効果があります。

 

しかし、お家の中には、注意すべきものがたくさんありますので、事前に危険な物を取り除くなど準備を整えてから行い、放鳥中はしっかりと鳥さんを見守ってあげましょう。

 

 

放鳥について

放鳥とは、鳥かごから出して、お部屋の中で遊んだり、飛ばせてあげることです。

 

放鳥は、鳥さんにとって運動不足解消ストレス発散など良い効果があり、鳥さんの心と体の健康につながります。

太り過ぎによる病気の予防にもなります。

また、飼い主さんと一緒に遊ぶことで、コミュニケーションを取る良い時間になります。

 

しかし、お家の中には危険がいっぱい!

思わぬ事故により、鳥さんがケガをしたり、命を落とす例を発生しています。

 

愛鳥と良い時間を過ごせるように、注意点をしっかりと知っておきましょう。

 

放鳥の方法 

放鳥は、鳥さんが安全に遊べるように、人間がしっかりと見守ることができる状態で行いましょう。

時間は30分~1時間くらいが目安です。

 

放鳥時間は、毎日規則正しく、十分な時間を確保することが理想的ではありますが、人間の生活の都合もあるため、難しいこともあると思います。

安全であることが最重要と考えてください。

 

ながら放鳥や放し飼いは危険!

ながら放鳥放し飼いは、様々な事故につながります!

人間が見守ることができないときは放鳥はしないでください!

悲しい事故が多数発生しています!

 

放鳥時に気を付けること・もの 

お家の中には鳥さんにとって危険なものがたくさんあります。

危険なものは片付けて、部屋を整理整頓してから、鳥さんを出してあげましょう。

事故の発生が多い代表的なこと・ものを紹介します。

 

  • 誤飲につながるもの

鳥さんは小石や砂などをついばむ習性があり、好奇心も旺盛ですので、鳥さんが飲み込めるくらいのサイズのものは誤飲につながります。

 

特に注意すべきは金属片を食べてしまう金属中毒です。

 

参考記事:金属中毒について

 

  • 鳥さんが食べると危険なもの

観葉植物や食べてはいけない野菜が出しっぱなしだと誤食により中毒症状を起こすおそれがあり危険です。

 

参考記事:副食について

 

  • 窓やドア

窓やドアが閉まってることを必ず確認しましょう。

外に逃げてしまい迷子(ロスト)につながります。

 

網戸にも注意が必要です。鳥さんの種類によっては、網戸を突き破って外に出てしまう可能性があります。

 

また、家族の協力も重要です。放鳥中は家族に知らせ、ドアや窓を開けてしまわないように気をつけましょう。帰宅してきた家族がドアを開けたときに逃げてしまう可能性もあります。

 

  • 家具の隙間や落下しそうな物

大きな家具の隙間に入ってしまい出られなくなると、救出時にはさんでしまうおそれがあり、大変危険です。

また、落下物が鳥さんの上に落ちてきてしまうと大怪我をするおそれがあります。

 

  • 扇風機

運転中の扇風機に足や羽をはさんでしまうと非常に危険です。

 

  • 鳥さんに危害を加えるおそれのある動物

仲良しだと思っていても、思わぬ事故につながる恐れがあります。特に犬や猫などの大きな動物は鳥さんと一緒に出さない方がよいでしょう。

また、鳥同士でのかみつきによる事故も発生しています。複数鳥さんを飼育している場合は、一緒に出しても大丈夫かよく考えて放鳥しましょう。

 

  • 人間による事故

ドアではさむ、人間が踏んでしまうといった事故が多発しています。

 

  • 掃除機

掃除機で吸ってしまうと大ケガにつながります。

放鳥中に掃除機を使わないでください!

 

  • 高温のお湯や油が入った鍋

大火傷につながりますので、高温のお湯や油が入った鍋は片付けてから放鳥を!

 

  • 鳥さんの体調

体調が悪いときは放鳥を避けましょう。

飛ぶことはとても体力を消耗します。

闘病中に無理に放鳥をすると、急に命を落とすおそれもあります。

放鳥しても良いかは鳥さんの具合によって変わりますので、通院中の場合は、放鳥してもよい状態か、かかりつけの獣医師に確認してください。

 

  • 肥満の鳥さん

太り過ぎの鳥さんが、無理して激しい運動をすると、隠れていた病気(肝臓病や動脈硬化)が出現し、危険な場合がありますので、注意が必要です。

太り過ぎと考えられる場合は、まず動物病院で本当に太り過ぎか?病気が隠れていないか?健康診断を受けた方が良いですね。

 

 

鳥さんの事故はとても多く発生しています。

必ず人間が見守った状態で!

放鳥中は鳥さんと一緒に遊ぶことで、こうした事故を避けることができます。

 

終わりに

お家の中には鳥さんにとって思わぬ危険がたくさん潜んでいます。

こうした危険は、放鳥中に鳥さんと人間が一緒に遊んであげることで全て解決します。

大切な鳥さんのために、しっかりと見守ってあげてください。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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【鳥さん】金属中毒について

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本記事では、鳥さんの金属中毒についてお伝えします。

 

金属中毒は、重金属(鉛、亜鉛、銅)を誤って食べてしまうことで起こる中毒症状です。

発生数が多いので注意が必要です!

治療が遅れると数日で亡くなってしまう怖い病気です。

 

鳥さんの身の回りの物に気を付ければ予防することができます。

鳥さんを危険な目に合わせないように飼い主さんが注意してあげましょう。

 

そして、もし金属中毒になってしまったときに適切に対応できるよう、症状を知っておきましょう。

 

 

金属中毒とは?

鳥さんが、金属(鉛、亜鉛、銅)を誤って食べてしまうことで起こる中毒のことです。

(鉛による中毒が最も発生数が多いです)

 

鳥さんは、小石や砂などを食べて、胃(砂嚢、砂ぎも)の中に取り込み、物理的な消化の助けにする習性があるため、誤って金属も食べてしまうことがあります。

 

金属中毒の原因となる金属は、意外と一般的な家庭内にたくさん存在するため、こうした事故が多くなっています。

 

特にオカメインコ、ラブバード、セキセイインコで多く発生しています。

 

症状

発症すると進行が早く、治療をしなければ数日で亡くなってしまうケースもあります。

 

以下のような症状が見られたら、金属中度を疑い、速やかに動物病院へ連れて行ってあげてください。

 

特に便の色の変化が分かりやすく特徴的です。

 

  • 便が濃緑色
  • 尿酸が黄色い(尿酸とは便と一緒に排泄される通常では白い液状の物のこと)
  • 元気・食欲がない
  • 嘔吐
  • 腹部をついばんだり、蹴る動作をする(腹痛の症状)
  • 翼が下に垂れている、翼を振るわせる
  • 脚の麻痺(歩き方がおかしい、足を挙げている)
  • けいれん

 

急に具合が悪くなり、濃緑色の便をしていたら、金属中毒の疑いが強いです。

 

検査

金属中毒が疑われる症状が確認されたら、レントゲン検査を行い、消化管の中に金属片が存在しないか検査をします。

 

治療

キレート剤(金属と結合し活性を低下させる薬)の注射、輸液、強肝剤などで治療を行います。

 

金属中毒であれば、キレート剤で改善が望めますので、金属中毒が疑われる場合は、速やかに動物病院に連れて行ってあげることが重要です。

 

 

予防方法 

金属を食べなければよいので、鳥さんの身の回りに、原因となりうる金属の含まれたものを置かない・設置しないようにしましょう。

 

しかし、お家の中から完全に取り除くことは不可能だと思いますので、放鳥時に鳥さんのことをしっかり見守ることが最重要です。

 

放鳥時に目を離したすきに誤食してしまうケースがとても多いです!!

ながら放鳥をしないことが予防として大切です。

 

重金属製か分からないものは鳥さんに近づけないようにしましょう。

 

また、メッキが剥がれた鳥かごは買い替えましょう。

 

原因となる身近なもの

ごく少量の金属でも中毒を起こします。

 

原因となりうるものは非常に多いのですが、代表的なものを挙げます。

特に以下のものに注意しましょう。

 

鉛中毒の原因

  • カーテンウェイト(カーテンのおもり)
  • 釣り具のおもり
  • ダイビングのおもり
  • タイヤホイール
  • 電球の基部
  • ハンダ
  • 塗料
  • ワインびんの金属箔
  • ステンドグラス(接合部)
  • バッテリー
  • 輸入雑貨
  • アクセサリー

 

 

亜鉛中毒の原因

鳥かご、おもちゃ、食器など。

鳥用として販売されていても亜鉛が含まれていることがあるので、注意が必要です。

 

鳥用品を選ぶ際は、金属製を避け、選ぶときはステンレス製にすると安心です。

 

  • 5円玉、500円玉にも亜鉛が含まれています。

 

銅中毒の原因

  • 電気コードの中の銅線
  • 銅製のおもちゃや食器

 

終わりに

金属中毒は治療が早ければ助かりますが、遅れると亡くなってしまうこともある怖い病気です。

 

そして金属中毒は予防できる病気です。

 

鉛中毒を発症した鳥さんの飼い主さんの多くは、「何を食べたのか心当たりがない」と言います。「鉛」は意外と身近な存在です。

 

鳥さんの身の回りのものにできるだけ金属を避け、金属はステンレス製にし、ながら放鳥をしないようにして、鳥さんの命を守ってあげてください。

 

放鳥時は目を離さず、飼い主さんが一緒に遊んであげましょう♪

 

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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