こんにちは、小鳥の獣医です。
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本記事では、鳥さんの金属中毒についてお伝えします。
金属中毒は、重金属(鉛、亜鉛、銅)を誤って食べてしまうことで起こる中毒症状です。
発生数が多いので注意が必要です!
治療が遅れると数日で亡くなってしまう怖い病気です。
鳥さんの身の回りの物に気を付ければ予防することができます。
鳥さんを危険な目に合わせないように飼い主さんが注意してあげましょう。
そして、もし金属中毒になってしまったときに適切に対応できるよう、症状を知っておきましょう。
金属中毒とは?
鳥さんが、金属(鉛、亜鉛、銅)を誤って食べてしまうことで起こる中毒のことです。
(鉛による中毒が最も発生数が多いです)
鳥さんは、小石や砂などを食べて、胃(砂嚢、砂ぎも)の中に取り込み、物理的な消化の助けにする習性があるため、誤って金属も食べてしまうことがあります。
金属中毒の原因となる金属は、意外と一般的な家庭内にたくさん存在するため、こうした事故が多くなっています。
特にオカメインコ、ラブバード、セキセイインコで多く発生しています。
症状
発症すると進行が早く、治療をしなければ数日で亡くなってしまうケースもあります。
以下のような症状が見られたら、金属中度を疑い、速やかに動物病院へ連れて行ってあげてください。
特に便の色の変化が分かりやすく特徴的です。
- 便が濃緑色
- 尿酸が黄色い(尿酸とは便と一緒に排泄される通常では白い液状の物のこと)
- 元気・食欲がない
- 嘔吐
- 腹部をついばんだり、蹴る動作をする(腹痛の症状)
- 翼が下に垂れている、翼を振るわせる
- 脚の麻痺(歩き方がおかしい、足を挙げている)
- けいれん
急に具合が悪くなり、濃緑色の便をしていたら、金属中毒の疑いが強いです。
検査
金属中毒が疑われる症状が確認されたら、レントゲン検査を行い、消化管の中に金属片が存在しないか検査をします。
治療
キレート剤(金属と結合し活性を低下させる薬)の注射、輸液、強肝剤などで治療を行います。
金属中毒であれば、キレート剤で改善が望めますので、金属中毒が疑われる場合は、速やかに動物病院に連れて行ってあげることが重要です。
予防方法
金属を食べなければよいので、鳥さんの身の回りに、原因となりうる金属の含まれたものを置かない・設置しないようにしましょう。
しかし、お家の中から完全に取り除くことは不可能だと思いますので、放鳥時に鳥さんのことをしっかり見守ることが最重要です。
放鳥時に目を離したすきに誤食してしまうケースがとても多いです!!
ながら放鳥をしないことが予防として大切です。
重金属製か分からないものは鳥さんに近づけないようにしましょう。
また、メッキが剥がれた鳥かごは買い替えましょう。
原因となる身近なもの
ごく少量の金属でも中毒を起こします。
原因となりうるものは非常に多いのですが、代表的なものを挙げます。
特に以下のものに注意しましょう。
鉛中毒の原因
- カーテンウェイト(カーテンのおもり)
- 釣り具のおもり
- ダイビングのおもり
- タイヤホイール
- 電球の基部
- ハンダ
- 塗料
- ワインびんの金属箔
- ステンドグラス(接合部)
- バッテリー
- 輸入雑貨
- アクセサリー
亜鉛中毒の原因
- 亜鉛メッキのもの
鳥かご、おもちゃ、食器など。
鳥用として販売されていても亜鉛が含まれていることがあるので、注意が必要です。
鳥用品を選ぶ際は、金属製を避け、選ぶときはステンレス製にすると安心です。
- 5円玉、500円玉にも亜鉛が含まれています。
銅中毒の原因
- 電気コードの中の銅線
- 銅製のおもちゃや食器
終わりに
金属中毒は治療が早ければ助かりますが、遅れると亡くなってしまうこともある怖い病気です。
そして金属中毒は予防できる病気です。
鉛中毒を発症した鳥さんの飼い主さんの多くは、「何を食べたのか心当たりがない」と言います。「鉛」は意外と身近な存在です。
鳥さんの身の回りのものにできるだけ金属を避け、金属はステンレス製にし、ながら放鳥をしないようにして、鳥さんの命を守ってあげてください。
放鳥時は目を離さず、飼い主さんが一緒に遊んであげましょう♪
最後までご覧いただきありがとうございました。
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