鳥さんのお医者さんをしていた獣医師とり子です。
動物病院での勤務経験と獣医師としての知識を生かし
鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。
この記事では、
鳥類の診療をしていたときの経験から思う
鳥さんの爪切りについて私の意見を書きます。
結論から言うと
鳥さんの爪切りは動物病院で行うことをおすすめします。
どのような選択をするかは飼い主さん次第ですが、
この記事を読んでよく考えてからどうするか決めていただきたいと思います。
鳥さんの爪切りは動物病院で行うことをおすすめする理由
爪切りによる出血の危険があるから
まず1番の理由は
鳥さんの爪切りは出血することがある!
そして鳥さんの出血は命にかかわる!
このことを理解したうえで爪切りを実践してください。
爪切りは、慣れていないと以外と難しいです。
どれくらい切ればいいのか見誤ったり、
手元がくるって切りすぎてしまうと、
結構な量の血が出て、あっというまに辺りが血まみれになります。
鳥さんも飼主さんもパニック。
パニックで動き回るのでいつまでたっても血が止まらない。
という最悪の事態が起きます。
鳥さんの病院に勤めていると、
「爪切りをしたら出血が止まらないんですけどどうすればいいですか」という
問い合わせが本当に多いんです!
気を付けていても出血することはあります。
出血自体は仕方ないです。
しかし、ほぼ間違いなく止血剤を用意してないんですよね。
お家で爪切りをするなら出血することを想定してやるべきです。
電話を受けるたびに勘弁してくださいと心の中ではキレてました(^^;)
深爪ぐらい大丈夫でしょ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
鳥さんにとって出血は命にかかわるんです!!!
鳥さんの体のサイズから考えると、
人間からするとたったこれだけ?と思うような出血量でも、失血死につながります。
ぽたぽたとしたたるような出血の場合、あっというまに命を落とす危険があります。
セキセイインコだったら6滴出血した時点で危機的状態です。
止血は時間との戦いです。
必ず手元に止血剤を準備をしておき、
秒速で適切に止血ができなければ爪切りはやってはいけません。
爪切りで出血したときの止血方法についてはこちらの記事を見てくださいね。
止血方法について
hatarakitakunai30.hatenablog.com
爪切りが上手ではないと、
鳥さんの指や足をがっつり切ってしまったりと、
怖い事故も起きますので、
爪切りの腕に自信がなければやめておきましょう。
爪切り時の保定による危険があるから
爪を切るためには、
しっかりと保定(鳥さんを固定するように押さえること)する必要があります。
鳥の保定は見た目以上に難しく、
保定が上手な人と同じように持っても、
慣れていないと鳥をうまく固定できません。
うまく固定できないと、
押さえてはいけない部分まで押さえてしまい事故につながります。
押さえて良いのは鳥さんの首だけです。
絶対に鳥さんの胸を押さえてはいけません。
胸を押さえてしまうと、鳥さんは呼吸ができなくなってしまいます。
鳥の胸を押さえる=人間の首を絞めるのと同じです。
爪を切ることに集中するあまり
鳥さんの胸を押さえてしまうと鳥さんは呼吸ができなくなってしまいます!!!
しっかり保定ができ、
鳥さんの状態に気をかけながら、爪切りができるくらいの余裕がなければ
お家での爪切りはやめておきましょう。
飼い主さんと鳥さんの信頼関係が崩れるおそれがあるから
爪切りを行うには、
どうしても鳥さんをがっつり捕まえる必要があります。
そして、
慣れていない人が爪切りをすると、
時間がかかり、鳥さんのストレスは計り知れないものになります。
このとき、鳥さんは大きな恐怖を感じます。
これは人間が想像するよりはるかに大きなストレスだと考えてください。
自然界では食べられる側の生き物ですから、
捕まえられて身動きが取れない状態は命の危機です。
そんなことをしてしまうと、
せっかくの信頼関係にひびが入りかねません。
お家で爪切りをするなら、
鳥さんにストレスがかかりすぎないよう
なんでもないことのようにすっと捕まえて
短時間でぱぱっと終わらせましょう。
爪切りを動物病院で行えば健康診断も受けられるから
鳥さんの診療を行っている先生であれば、
爪切りはあっという間です。
ぱちぱちぱちっと全部の指の爪を短時間で切ってくれます。
出血してもすぐに確実な止血ができます。
爪切りを動物病院で行えば、
鳥さんの健康状態に問題がないか定期的にチェックしてもらえるので一石二鳥です。
hatarakitakunai30.hatenablog.com
「爪切りだけ」と言っても、獣医さんは最低限の身体検査はしてくれますので、病気にいち早く気付くことができます。
なお、爪切りだけで通院すると年に何度も動物病院に連れていくことになりますが、
糞便検査等の健康診断としての検査は、その内、年に2~3回受ければ十分です。
お家で爪切りをすることにはメリットもある
爪切りは鳥さんを保定しないとできないので、
普段じっくり見られないお腹側の健康チェックをすることができます。
また、お家で爪切りができれば、長くなってきたな気づいたときにすぐ切ることができるので、爪の伸びすぎによって爪が引っかかって起こる事故等を未然に防ぐことができますね。
まとめ
参考記事
爪切りの方法
hatarakitakunai30.hatenablog.com
おすすめの爪切り
hatarakitakunai30.hatenablog.com
止血方法
hatarakitakunai30.hatenablog.com