こんにちは、小鳥の獣医です。
鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。
開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
- 主食がシードの鳥さんにはビタミン剤が必要?
- 鳥用のビタミン剤はどれを選べばいい?
- ネクトンの正しい使い方や保管方法を知りたい
こんな疑問に答えます。
獣医師としておすすめできるビタミン剤はネクトンです。
ネクトンは、インコや文鳥などの鳥用のビタミン剤として有名な商品で、多くの愛鳥に使用されており、動物病院でも処方されています。
この記事では、ネクトンの使い方を解説します。
ネクトンは使い方に注意が必要で、正しい選び方、与え方、保管方法を守らないといけません。
この記事を読めば、正しくネクトンを使うことができるようになり、鳥さんの健康維持と病気の予防につながります。
主食がシードの鳥さんにはビタミン剤が必須です。
鳥さんが長生きできるよう、適切な栄養を与えて、健康管理をしてあげましょう。
ネクトンは鳥用のビタミン剤
ネクトンは、鳥用の栄養補助食品(サプリメント)です。
ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど鳥に必要な栄養成分がしっかりと含まれています。
シードのみの食事では栄養が不足してしまうため、ネクトンで足りない栄養素を補う必要があります。
ネクトンは、多くの動物病院で使用されている信頼できる商品です。
ネクトンには、ビタミンだけでなくミネラルも含まれています。
ネクトンを与えれば、ヨードを補うことで甲状腺の病気を予防することもできます。
ただし、総合栄養食であるペレットを主食としている場合はネクトンは不要です。
ネクトンとペレットを併用するとビタミン過剰症を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
ネクトンの種類・使い分け・効果
鳥用のネクトンには以下のような種類があります。
- ネクトンS
- ネクトンBiotin(旧ネクトンBIO)
- ネクトンMSA
- ネクトンB-KOMPLEX
- ネクトンE
- ネクトンQ
鳥さんの状態に合わせて使い分ける必要があります。
基本的には普段使いにネクトンS、換羽期にネクトンBiotinを使用します。
ネクトンSとネクトンBiotin以外のネクトンは、鳥さんの症状に合わせてかかりつけの先生に処方してもらい、指示のもと使用することをおすすめします。
ネクトンS(エス)
健康な鳥さんで一般的に必要になるのがネクトンSです。
日常的に使う総合ビタミン剤だと考えてください。
水溶性で飲み水に混ぜて与えることができます。
ネクトンBiotin(ビオチン)(旧ネクトンBIO)
換羽期用や成鳥期用のネクトンです。
鳥類の正常な羽毛発育促進の為に調整されています。
換羽期は、羽を作り出すための栄養が多く必要になります。
そんなときに役立つのが換羽期用のネクトンBiotinです。
日常使いとしてネクトンSを使い、換羽期はネクトンBiotinに切り替えましょう。
水溶性で飲み水に混ぜて与えることができます。
※換羽期の注意点についてはこちらの記事も参考にしてください。
ネクトンMSA(エムエスエー)
カルシウム、リン、ビタミンD3、アミノ酸など産卵期に必要な栄養に特化した配合の栄養補助食品です。
水溶性ではありませんので飲水投与はできません。
ネクトンB-KOMPLEX(ビーコンプレックス)
ビタミンB群を特別に配合した栄養補助食品です。
ビタミンBを補う必要がある症状が見られたときに処方されます。
水溶性で飲み水に混ぜて与えることができます。
ネクトンE(イー)
ビタミンEを主とする繁殖期用の栄養補助食品です。
繁殖能力促進効果があるため、飼い主さん独自の判断での使用は避けてください。
水溶性で飲み水に混ぜて与えることができます。
ネクトンQ(キュー)
投薬治療中の体力維持、抵抗力維持、免疫力維持を目的に配合された栄養補助食品です。
水溶性で飲み水に混ぜて与えることができます。
鳥用ネクトン一覧表
投与方法
ネクトンは種類によって投与方法が異なります。
ネクトンS、ネクトンBiotin、ネクトンB、ネクトンE、ネクトンQは水溶性です。
与え方は飲み水に混ぜる方法or餌に振りかける方法のどちらでも投与可能です。
ただし、摂取量が安定するため飲み水に混ぜる方法がおすすめです。
MSAは水溶性ではありません。
飲み水に混ぜる方法で与えることができません。
餌に振りかけて与えてください。
基本的に、病院で処方された場合は、獣医師の指示に従って与えてくださいね。
飲み水に混ぜる方法
水250mlにネクトン1gを混ぜて与えてください。
鳥さんの1日の飲水量はある程度決まっているため、水とネクトンの割合を守れば、量は増やしても減らしても大丈夫です。
(病気で多飲の場合は獣医師に相談してください)
(与え方の例)
- 水50mlにネクトン0.2g
- 水25mlにネクトン0.1g
おうちの水入れのサイズに合わせて調整してあげてください。
ネクトンを混ぜると水が傷みやすくなるので、できれば1日に2回、お水を交換してあげましょう。
餌に振りかける方法
餌に振りかける方法だと鳥さんの口の中に入る量にばらつきが出るため、個人的には飲水投与をよりおすすめします。
獣医師に餌に振りかける方法を指示された場合は、指示とおりに与えてください。
振りかける量は鳥種(体重)によって変わります。
セキセイインコや文鳥などの小型鳥であれば、人間用のみみかき1さじくらいを餌に振りかければ良いです。
保存方法
ネクトンは湿気ですぐに傷んでしまいます。
開封方法と保存方法に注意が必要です。
<開封方法>
開封時は、アルミフィルムを全て剥がさないように穴を開けることをおすすめします。
アルミフィルムの外周の部分を剥がすと、保存性が低下します。
<保管方法>
ネクトンは冷暗所で保存してください。
冷蔵庫で保管すると、出し入れするたびに結露が発生し、すぐに傷んでしまします。
冷蔵庫での保管は避けた方が良いです。
遮光密閉容器の中に乾燥剤と一緒にネクトンを入れて
- 直射日光が当たらない
- 涼しい
- 湿気が少ない
場所で保存するのがおすすめです。
遮光密閉容器
乾燥剤
キッチン用品として販売されていることが多いと思います。
ネクトンを1つだけ保存する場合は、この方法がおすすめです。
我が家では、その他の鳥用品をまとめてドライボックスに乾燥剤を入れて保存しています。
ドライボックス
ネクトンは開封後2~3カ月で使い切りましょう。
傷むと変色します。変色に気付いたら使用を中止してください。
小分けにされた商品を活用するのもおすすめです。
ペレットとの併用は禁止【ビタミン過剰症のおそれあり】
ペレットとネクトンを併用するとビタミン過剰になり、鳥さんの体に悪影響を及ぼすおそれがあります。
シードからペレットへの切り替え中は、食べているシードとペレットの割合を見ながらネクトンの量を減らしてあげてください。
食事全体量の8割以上ペレットを食べるようになったら、ネクトンを併用するのは止めましょう。
脂溶性ビタミンは摂りすぎると体に害を及ぼすのでご注意ください。
脂溶性ビタミンとはビタミンAやビタミンD3のことです。
どちらも、過剰症による症状が出るおそれがあります。
まとめ:シード食ならネクトンを併用しましょう
- ネクトンは鳥用のビタミン剤
- 日常使いはネクトンS、換羽期はネクトンBiotinを与える
- 与え方は飲み水に混ぜる方法がおすすめ
- 直射日光の当たらない&涼しい&湿気が少ない場所で保存(冷蔵庫は避ける)
- ビタミン過剰症のおそれがあるのでペレットとネクトンは併用しない
- シード食の鳥さんにはネクトンの併用が必須
使い方や保存方法に注意して、鳥さんが長く健康でいられるようにうまく使ってあげてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。
Twitterでも情報発信しています。