【小鳥の獣医】飼い鳥の骨折|症状と対応【急いで動物病院へ】

f:id:hatarakitakunai30:20210511151227p:plain

こんにちは、小鳥の獣医です。

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。


開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

 

本記事では、「骨折時の症状と対応」についてお伝えします。

 

鳥さんは空を飛べるよう体を軽くするために骨の中が空洞になっており、衝撃が加わると簡単に骨折してしまいます。

骨折するとどのような症状を示すのか、骨折したときはどのような対応が必要なのかお伝えしますので、鳥飼いさんの参考にしていただけると幸いです。

 

 

骨折時の症状と対応

f:id:hatarakitakunai30:20210511151532p:plain

鳥さんの骨折が疑われるときは、急いで治療をする必要があります。決して様子を見てはいけません。

本記事で骨折時の症状をお伝えしますので、骨折が疑われるときは急いで(数日以内に)動物病院へ連れて適切な治療を受けさせてあげましょう。

 

骨折の原因

私が遭遇したことがある事例をお伝えします。

 

骨折の原因

  • ケージの中で暴れた
  • 窓に激突した
  • ドアではさんだ
  • 人間に踏まれた
  • 掃除機で吸ってしまった

 

特にドア等ではさんでしまったり、人間が踏んでしまうなど、人間の不注意による事故が多いです。

 

大好きな飼い主さんを追いかけて

・歩いてついてきた鳥さんを気づかず踏んでしまった

・飛んできた鳥さんをドアではさんでしまった

 

なんとも悲しい事故ですが、

 

『鳥さんにとって人間は凶器になり得ます』

 

放鳥時は常に気を抜かないことが大切ですね。

 

骨折時の症状

鳥さんが骨折しやすい部位は、翼と足です。

 

翼の場合

  • 飛べなくなる
  • 翼の高さが左右で違う

 

足の場合

  • 足を浮かせている
  • 歩き方がおかしい

 

骨折が重度の場合

  • 出血(折れた骨が飛び出している)
  • おかしな方向に曲がっている
  • 腫れる
  • 内出血(皮膚が赤黒い)

 

骨折が疑われるときの対応

人間に踏まれるのは、小さい鳥さんにとってはとんでもない大事故です。

 

交通事故にあったのと同じと考えてください。

骨折だけでは済まないこともあります。

 

万が一、お家で事故が起き骨折を疑う症状がれば、お家でできることはありません。

安静にして、早く動物病院へ連れて行ってあげてくださいね。

 

骨折が疑われる場合は、当日、遅くても翌日に病院へ連れて行ってあげてください。

 

時間が経ってしまうと骨折の手術ができなくなります。

 

また、骨折するような事故の場合、体の中に骨折以上の深刻なダメージを受けている可能性もあるので、必ず動物病院へ!!

 

骨折の治療

骨折の治療には2種類あります。

 

①手術(骨の中にピンを入れて折れた骨をつないで固定)

②外部固定(ギプスのように外から固定する)

 

どちらの治療方法にするかは、

  • 骨の折れ方
  • 鳥さんの状態
  • 飼い主さんの意向
  • 骨折してからの経過時間

から総合的に判断します。

 

手術ができる目安は、骨折してから2~3日以内です。

 

手術は、折れた骨と骨を元の状態に戻して、ピン(金属の細長い棒)で骨をつなぎあわせるように刺し固定します。

 

時間が経つと、骨の周りの筋肉が縮んで硬くなり、骨が元の位置に戻せなくなってしまいます。

 

骨折の治療は、手術ができる状態であれば手術をおすすめします。

 

外部固定で元通りにくっつかなかった場合や骨折を放置した場合、

・歩き方がおかしい

・飛べなくなる

といった後遺症が残ることがあります。

 

鳥さんが飛べなくなってしまうのはとても悲しいことですよね。

 

<手術をする場合の治療の流れ>

・入院

・手術(全身麻酔でピンを入れる)

・骨の癒合を確認(レントゲン検査)…骨が癒合するまでに手術後2~3週間

・ピンを抜く

・退院

・リハビリの通院

 

病院によって違うかもしれませんが

私が勤めていた動物病院では以上のような流れでした。

 

 

骨折の手術ができない事例

発情中の女の子の場合

  • 発情により骨の中にカルシウムが過剰に沈着(骨が硬すぎてピンが入らない)
  • 卵を産み過ぎて骨がすかすかになっている(ピンを刺すことで骨が砕けてしまう可能性がある)

発情は骨折の治療にも影響します。

 

骨折の予防

骨折は予防できます。

普段から注意してあげましょう。 

 

  • 事故を起こさない!

 人間の不注意が多いです!

 

  • 爪切り

 長い爪は足がひっかかります!

 

  • 丈夫な骨を作る

 ペレットかビタミン剤でカルシウムとビタミンDを!

 日光浴も!

 

  • 発情抑制

 女の子の発情は骨の状態に影響大!

 産卵が続くと骨がすかすかに!

 人間でいう骨粗しょう症のような状態ですね。

 日頃からの発情抑制が大切です。

 

発情抑制の方法についてはこちら:発情抑制方法

 

 

まとめ

鳥さんの骨折は、鳥さん自身がケージ内で暴れて起こることもありますが、ほとんどが放鳥時の人間による事故です。

放鳥は長時間出しっぱなしにせず、大切な愛鳥にケガをさせないように日頃から注意してあげてください。

そして、事故が起きた時は、様子を見ず、すみやかに動物病院へ連れていき、適切な治療を受けさせてあげましょう。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。

記事一覧

 

Twitterでも情報発信しています。

@vet_bird_toriko

【獣医師解説】インコなどの飼い鳥の卵詰まり|緊急性の高い病気!女の子♀の飼い主さんは要注意!

f:id:hatarakitakunai30:20210525145853p:plain

こんにちは、小鳥の獣医です。

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。


開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

 

本記事では、鳥さんの卵詰まりについてお伝えします。

卵詰まりは、緊急性が高く、命にかかわることもある病気です。

 

女の子の鳥さんの飼い主さんには、ぜひ知っておいていただきたい内容ですので、参考にしていただけると幸いです。

 

 

卵詰まりとは?

卵詰まり(卵塞、卵秘)とは、女の子の鳥さんで、体の中で卵が詰まって出てこないことです。

難産の状態です。

 

発情が長く続き、正常よりも卵をたくさん産んでいる場合に発生しやすいです。

 

また、初めて卵ができ、初産である場合にも発生しやすいので注意が必要です。

 

卵詰まりの症状

元気食欲が低下し、羽を膨らませている床でうずくまるなど具合が悪そうな状態やお腹が膨らんでいるいきむ様子などが見られます。

 

便が出なくなることもあります。

卵が詰まり、おしりの穴をふさいでしまった場合、排泄できなくなり、非常に危険な状態になります。

 

卵詰まりに伴って、排泄腔脱(おしりの穴から内臓が飛び出す病気)を起こすことも多いです。

 

しかし、無症状のこともあります。

女の子の鳥さんが産卵をしたら、最後の卵まで正常に産み終わっているか確認するため、動物病院へかかるほうが安心です。

 

卵詰まりかどうか確認する方法

お腹を触って、硬くて丸いものが触れれば、卵がお腹の中にあると分かります。

(こうした触診は普段から触り慣れていないと判断は難しいと思います)。

 

卵ができてお腹の中にあることが触って確認できてから24時間以上経っても産まなければ、卵詰まりです。

 

腹部(おなか)の触診は以下の写真のような部分を触って確認します。

f:id:hatarakitakunai30:20210525144516p:plain

 

f:id:hatarakitakunai30:20210525144534p:plain

(※健康で卵がないセキセイインコの写真のため、お腹が膨らんでいません)

 

 

フィンチは毎日、セキセイインコオカメインコなどのオウム類であれば、通常1日おきに産卵します。

 

正常な周期で産卵している場合、卵を産んだら、翌々日に次の卵を産みます。

 

※卵詰まりが疑われるときに、長時間鳥さんを捕まえたり、強くお腹を触るのは控えてください。体力を消耗し、お腹の中で卵が割れることもあり、大変危険です。

 

※お家で触って卵らしき固いものが触れなくても、卵詰まりでない、とは言えません。

ベテランの獣医でも触診だけでは判断できないケースもあります。

殻がない卵ができていることもあるので、おかしいと感じたら、動物病院へ!

 

卵詰まりのときの対応【お家でできることは少ない】

お家でできることは少ないです。

卵詰まりが疑われる場合は、できるだけ早く、動物病院へ連れて行ってあげましょう。

 

病院へ連れていくまでの間は、30℃くらいにしっかりと保温をしてあげてください。

 

卵詰まりは、急激に状態が悪化することがあります。

様子を見ず、その日のうちに病院へ!

 

※おしりの穴から油を入れても卵詰まりに効果はありません。お家で無理に卵を出そうとせず、動物病院へかかりましょう。

 

動物病院での卵詰まりの処置

視診と触診(場合によりレントゲン検査や超音波検査も行います)により、卵詰まりであることが確認できたら、通常は、獣医師が手で卵を押し出す処置を行います。

 

ただし、手で押し出す処置で卵が排出できない状態の場合は、手術により卵を取り出します(帝王切開)。

 

 

卵詰まりの原因

主な原因

  • カルシウム不足(卵を産み出す力が足りないor正常な卵が作れない)
  • ストレス(寒さ、環境の変化など)
  • ホルモンの異常
  • 高齢
  • 骨格の異常
  • 卵管の異常

 

栄養(特にカルシウム)や日光浴が十分でない場合、発生しやすくなります。

また、低温の冬に特に起こりやすい病気です。

 

予防方法【重要】

卵詰まりは予防がとても重要です!

 

予防のためには、発情抑制食事による適切な栄養が摂取日光浴が必要です。

 

まず日頃から発情を抑制することにより卵を作らせないようにしてあげてください。

 

関連記事:発情抑制方法 

hatarakitakunai30.hatenablog.com

 

 

卵ができたときにスムーズに産卵できるように栄養を摂らせてあげてください。

 

栄養は特にカルシウムが必要です。

シード食の場合は、ボレー粉ネクトンなどの栄養補助食品でカルシウムをしっかり摂取させましょう。

 

日光浴は、ビタミンD3を産生することでカルシウムの吸収を良くする効果があります。

 

 

女の子の鳥さんが発情期に入ったら、毎日、体重測定を行い、卵ができたことを察知することが大切です。

急に数グラムも体重が増えたら(卵1個分の重さくらい)、卵ができていることを疑いましょう。

 

獣医師でなくても、触り慣れれば触診はできます。

触診により卵ができているかどうか判断できるようになるとより良いです。

普段からお腹を触って、発情しているかどうか、卵がないかどうか、状態の変化を察知できると理想的ですね。

 

卵ができていることを察知してから24時間経っても産卵しない場合は動物病院へ連れて行ってあげましょう。

 

おわりに

卵詰まりは、命にかかわることもある怖い病気です。

卵詰まりが疑われる場合は、様子を見ず、動物病院へかかりましょう。

 

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。

記事一覧

 

Twitterでも情報発信しています。

@vet_bird_toriko 

【小鳥の獣医】インコの甲状腺腫【予防には栄養管理が必要】

f:id:hatarakitakunai30:20210615144107p:plain

こんにちは、小鳥の獣医です。

鳥さんと飼い主さんの幸せにつながる情報を発信しています。


開院に伴い当ブログは引っ越しました↓
病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

 

 

本記事では、鳥さんの病気の1つ「甲状腺」についてお伝えします。

甲状腺腫は、主に「ヨウ素」という栄養が不足することによって起こります。

日頃の食事で栄養が摂れていれば予防できる病気ですので、鳥飼いさんにはぜひ正しい知識を持って、愛鳥の食事に気を付けていただきたいと思います。

 

 

甲状腺腫とはヨウ素不足によるセキセイインコに多い病気

ヨウ素が長期的に不足することにより、甲状腺が大きく腫れる病気です。

ヨウ素甲状腺ホルモンの材料で、不足すると甲状腺ホルモンの合成ができず、甲状腺甲状腺ホルモンを合成しようとして大きくなります。

 

シードには必要な栄養素であるヨウ素が含まれていません。

 

そのため、長期的にシードのみの食事で、栄養補助食品(サプリメント)を与えていないとこの病気になります。

 

また、特定の野菜(アブラナ科キャベツブロッコリーカリフラワーマメ科豆苗など)は甲状腺腫を誘発する物質が含まれてるため、与えすぎると甲状腺腫を起こす要因の1つとなります。

 

全ての鳥さんで気を付けるべきですが、特にセキセイインコ文鳥で多く発生しています。

 

症状:声や呼吸がおかしい

甲状腺は首~胸のあたりにある臓器です。

甲状腺が腫れると、他の臓器を圧迫し、様々な症状を引き起こします。

 

特に呼吸器症状が特徴的でこの病気に気付きやすい症状です。

 

呼吸器症状は、甲状腺が気管や鳴管(声を出すための臓器)を圧迫し、呼吸時に口を開けて苦しそうに呼吸をしたり、呼吸に合わせてキューキューと変な音がしたりする症状です。

 

また、食道が圧迫されることで餌を吐き出す症状が現れることがあります。

 

心臓を圧迫することもあり、その場合は、心不全を起こすおそれもあります。

 

甲状腺の機能が低下するため、肥満や不規則な換羽などの症状が現れることもあります。

 

検査:レントゲン検査が必要

特徴的な症状と、レントゲン検査で甲状腺が大きくなっていることを確認することで診断します。

 

治療:ヨウ素を補い甲状腺の薬を飲む

ヨウ素を与え、薬(甲状腺製剤)で治療を行います。

 

予防方法:ネクトンかペレットでヨウ素を与える

適切な栄養管理で予防することができます。

 

シードにはヨウ素が含まれていないため、シードが主食の場合は、必ず栄養補助食品(ネクトンなどのサプリメント)を与えるようにします。

 

なお、ペレット食であれば、ヨウ素が含まれているため、サプリメントは不要です。

 

参考記事:ネクトンについて

     ペレットについて

 

また、甲状腺腫を誘発する野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、豆苗など)を過剰に与えないように気を付けます。

 

参考記事:与えても良い副食について

 

まとめ:適切な食事でヨウ素を与えて甲状腺腫を予防しましょう

甲状腺腫は食事に気を付けていれば予防できる病気です。

愛鳥のために、シード食なら栄養補助食品を、あるいはペレット食をあげるようにし、末永く愛鳥が健康でいられるようにしてあげてください。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

病院HP
郵送メガバクテリア検査
郵送遺伝子検査
オンライン相談

 

その他の記事は以下のリンクからご参照いただけます幸いです。

記事一覧

 

Twitterでも情報発信しています。

@vet_bird_toriko